いちご狩り

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Neko-Neko-Heart

QT延長症候群の娘の生活

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ご紹介

Neko-Neko-Heart
の由来

QT延長症候群という病気を知っていますか?
QT延長症候群は、心筋の遺伝子の異常が原因で、 突然に不整脈を起こす病気です。その結果、失神したり命を落とすことがあります。

例えるなら、いつ爆発するか分からない爆弾のような心臓をもっているのです。
でも私にとっては 大切な娘の心臓ですし、本人にとっても自分の体の一部です。
そこでふとイメージが湧いたのが「なんか猫みたい」。

猫ってきまぐれで、ゴロゴロしてると思ったら突然爪をたてて引っかいたり、びっくりしてガブっと噛んだり...。
娘の大好きな「猫みたい」と思ったら、頑張ってくれているこの心臓が愛しく思えてくるんです。

現在の医療ではまだこの病気の根本的な治療法はありません。だから娘はこの心臓とともに生きていくんです。 病気があっても大切な心臓だから、愛情を込めて「ねこねこハート」と呼ぶことにしました。

娘の心臓には「お願いだから牙を剥いたりしないで、おとなしくしててね。」と、毎日願っています。

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目的

当事者家族として
情報発信をしたい

娘の心臓に病気があるとわかってから、生活する中で様々な不安や疑問が ありました。なにかアドバイスが欲しくて、インターネットや本で「QT延長症候群」について調べました。
何度も目にする「突然死」という重い言葉。医学的な知識はもちろん大事です。ですが、私が一番知りたかったことは、 同じ病気をもつかたの体験や言葉です。

私たちに必要なのは「生活上の困難をどう乗り越えていくのか」ということでした。
やっと同じ病気のかたのブログや動画を見つけたとき、とても心強く感じたのを覚えています。 それから手探りの日々でしたが、家族や地域の様々な方の力を借りながら、自分たちなりにやってきた私たち。

娘と同じ病気や、何か病気を抱えている方の、なにか参考になればと思い立ち上げたのがこのページです。

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QT延長症候群について

  • 病気の概要
  • 発作のリスクを避ける
  • 発作予防薬の服用
  • 植え込み型除細動器(ICD)
  • 発作時の対処法を考え実践する

上の見出しをクリックすると詳細がひらきます。

病気の概要

専門的な説明は、医療関係ホームページでご確認ください。

簡単に言うと、心臓が動くための電気的活動に異常が生じ、心臓が正常に動かなくなること で失神発作をおこしたり、心停止により死に至ることもある、という病気です。

先天性と後天性があり、先天性は遺伝子の異常、後天性は薬剤による影響や電解質異常などが 主な原因と言われています。

先天性の場合、根本的な治療は今のところありません。しかしできることもあります。 発作の予防と発作が起きた時の救命がとても大切です。

発作のリスクを避ける

先天性QT延長症候群にはいくつかのタイプがあり、タイプによって発作を起こしやすい リスク要因が異なります。運動であったり安静であったり、大きな音だったりと...。 ホルモンバランスの影響を受けるとも言われています。

あくまでもリスクが大きくなるということであり、必ず発作が起きるわけではないし、 しなかったから大丈夫というわけでもありません。娘はタイプ2と3なので、安静時、睡眠時、 突然の大きな音、驚愕(びっくりすること)が発作を起こしやすくするリスクです。

なかなか避けるのは難しいことばかりです。

発作予防薬の服用

β遮断薬やナトリウムチャネル遮断薬など。

娘は今服薬をしている段階です。飲み始めはめまいや吐き気などの副作用がひどくて、 学校にいけない日々が続き辛かったです。副作用は個人差がありますが、半年ほど 飲み続けるうちに慣れてきました。

発作予防に関しては、娘の場合は効果があると感じています。毎日飲み続けるのは大変ですが、 使える薬があるということは本当に幸せだと思っています。

植え込み型除細動器(ICD)

体外式除細動器(AED)を小型化してペースメーカーと同じように体内に植え込む ようにしたものです。薬物療法が奏効しない場合は、発作を感知して自動で電気ショックを 与えるICDの植え込みが検討されます。

発作時の対処法を考え実践する

できる限り予防したとしても、発作が起きないとは言えません。

発作が起きても自然と回復することもありますが、そのまま心停止へ と移行すれば一刻の猶予もありません。心停止になってから何もしなければ10分で 蘇生できる見込みは限りなく低くなってしまいます。

まずは心臓マッサージ、それからAEDの使用は必ず訓練しておく必要があります。 日頃から「もし発作が起きたらどうするか」を考え、家族でしっかり確認しておくとよいと思います。

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ふうちゃん
心電図 目覚まし 服薬 icd aed

病気がわかってからの経過

1. 病気がわかるまで

先天性QT延長症候群ですが、産まれた時からこの時まで症状がなく、 発見できたのは小学校入学前でした。
きっかけは就学時検診。心雑音を指摘され、 大学病院を受診することに。そこで告げられたのは「QT延長症候群の疑い」でした。

そしてこの病気は「突然死する可能性がある」と...。

心雑音を指摘された時から、何もないことを祈る日々でした。何でもない日常が、突然変わって しまったようでした。

確定診断するには遺伝子検査が必要とのことですが、他県の病院での検査になり、 費用も保険が効かないということでした。家族にも心臓病はいないし、今のところ失神などの症状もないので、 定期的に診察し様子をみることになりました。

期待で胸いっぱいのはずだった小学校生活...。大好きだったプールは見学。 子ども同士のふざけあいも、娘にとっては発作のリスクでもあります。学校生活は心配でしたが、先生方をはじめ、 学校にはたくさんの協力をしていただきました。

花畑で遊ぶ

2. 確定診断

2年生の春、みんなと一緒にプールに入りたくて診断をつけることに。検査の結果、 疑いがなくなればプールに入れます。

遺伝子検査は採血だけで終わり、結果を待つことになりました。期待と不安の日々が 続いたけれど、元気いっぱいの娘ちゃんに私の方が励まされてました。

結果説明はいつもの診察室とは違うカウンセリングルーム。部屋には担当医以外に看護師さん やカウンセラーさんたち4名が待っていました。娘は看護師さんに連れられてドクターヘリ を見に行きました。もう何となく結果は察していたけれど。

「結果はQT延長症候群でした。」
との告知に、やっぱり涙がでてきてしまいました。こうして娘はQT延長症候群の2型と診断されました。

しばらくは気持ちが落ち込んだりもありました。でも時が経つにつれて「クヨクヨしたって仕方ない。 娘は絶対に守る」という気持ちにもなれました。「私にできることは何かを考えて、実践すること。それしかない。」と。
でもこの頃はまだ、娘の心臓のことを心から受け入れられなくて、「怖い」と感じていました。

海で遊ぶ

3. 発作の疑い

2年生の冬ごろ。寝静まった真夜中、突然娘がベッドの上で起きあがりました。ただならぬ気配に 気が付いて娘を見ると、目を見開いて息をしようともがいているように見えました。

すぐに駆け寄り抱きかかえ、名前を呼びました。もう何がなんだか分からずにいると、娘は静かに 寝息を立て始めました。時間にすると1~2分程だったと思います。

もしかして、心臓の発作なの?!

ちょうど風邪をひいていたため、痰がのどに詰まったのかとも考えましたが、とにかく翌朝病院に 連絡することに。
念のために検査をすることになり、血液検査、24時間心電図検査と脳波検査を することになりました。脳波検査は「てんかん発作」も疑ってのことでした。

結果は、「心臓発作だったかどうかはわからない」ということで、経過観察になりました。

その後も発作なのかよく分からない症状が3回くらいありました。 その都度検査もしましたが、はっきり発作だとは分かりませんでした。
とにかくいつ発作が起こるかは分からないので、 発作が起きたらどうするかをいつも考えて生活していました。

おもちくん

4. 発作予防薬と副作用

5年生のある定期健診。
「心電図検査の結果、発作が起きる可能性はあると思う。 これまで気になる症状もあるし、発作予防薬を飲み始めた方がいいと思う。」と告げられました。 一生薬を飲み続けることへの抵抗感もあったし、腎臓肝臓への負担も心配でした。でも命のことを考えたら、 飲まないという選択はありませんでした。

薬を飲み始めてすぐに副作用が現れました。血圧と脈拍が下がり、ふらふらして気分が悪く、 娘はぐったりしていました。頭痛や腹痛も続きました。
学校も行けず、家で横になって過ごす日々が続きました。 1か月経っても改善せず、日常生活に戻れませんでした。薬を変えたり、量を調整するのが大変でした。 命のリスクと副作用を天秤にかけなければならない、困難な状況でした。

(補足)

薬の副作用は個人差があります。自己判断ではなく、担当医と相談して続けていくことが大切だと思います。

まめちゃん

5.発作と入院

5年生の夏。薬の副作用が続く中、学校は夏休みに入りました。

まだ寝ていた娘が突然ひきつけるような息をし始めました。 (全力で吸って吐いてを1秒間隔で繰り返しているような感じ。)呼びかけても、 目は見開いていて焦点が合わない!これはきっと発作だと感じました。すぐに家族に 知らせて救急車の要請とAEDを持ってくるように頼み、自分は心臓マッサージの準備を始めました。

心臓マッサージをしようと仰向けに寝かせようとするけれど、意識が完全になくなってはいないのか、 ぐったりというよりはもがくように動く娘。その時点ではもう呼吸の音は聞こえませんでした。 そうこうしていると救急隊が到着し、同じタイミングで娘が息をし始めました。救急隊が様子を確認し、 現在は異常なしと分かりほっとしました。かかりつけ病院に連絡し、搬送はせずに受診することになりました。

担当医が不在で、別の先生に診てもらいましたが、問題ないとのことでこの日は帰宅することになりました。

しかし翌々日、全く同じような状況で救急要請する事態に。今回も意識は戻りましたが、 かかりつけの大学病院へ搬送、入院になりました。

入院

6.入院中からその後

経過良好で退院する二日前、突然起き上がったと思ったら倒れこんだ娘。意識はすぐに戻りました。心電図のアラーム が鳴り響いて飛んできた看護師さん達。慌てて血圧を測ったり先生を呼びに行ったりテキパキと対処してくれて安心し ました。今度は心電図をつけていたため、発作時の心電図が記録されており、間違いなく発作であることが分かりました。

「やっぱり発作だったんだ...」これまでもやもやしていたのが、はっきり発作だと分かって安心したのと同時に、 今まで大事に至らずにいてくれて本当に良かったという思いでした。

入院中に娘は「2型」だけではなく「3型」も併発している可能性があると分かりました。そして発作予防薬も増えましたが、 副作用とはじっくり付き合っていくことにしました。命には代えられません。

退院して半年くらいは副作用と精神的なショックと、体力の低下で自宅療養という感じでしたが、これまで仕事ばかりだった私、 娘との時間を幸せに感じて過ごしていました。

春を迎え、体調も少しずつ回復し、日常を取り戻していきました。以降、発作もなく過ごせています。やはり発作が起きた時の対応が しっかりできることが大切だと実感しました。

これからも娘の大事な「ねこねこハート」と付き合っていくために、できることをやっていくつもりです。

心電図

スクロールするとスライドを順にみることができます。
画面両サイドの三角ボタンをクリックしてください。

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日々の生活で工夫していること

毎日の服薬を確実にする

発作を抑える薬の服用は何より大切です。忙しくても忘れないよう、確実に飲めるように工夫しています。

  1. 透明ケースに1日分の薬を入れて管理する
  2. スマートフォンのアプリを使ってアラームをセットする
  3. 飲んだ薬の殻はケースに残しておき、飲んだことを忘れて重複して飲むのを避ける
  4. 本人と家族が良く目につく場所にケースを置いておく
  5. 学校や外出時には決まった携帯ケースに入れて管理する

大切なのは「人間は忘れてしまう」という前提のもと、自分の行動パターンに結び付けて、思い出す機会、確認する機会を作ることです。

大きな音や驚愕を避ける

これはQT延長症候群のタイプ別でいう2型の対処法になります。
大きな音の出る目覚まし時計を使用せず、スマートフォンのアラームを徐々に音が大きくなるように設定しています。

イベントやお祭り、花火など大きな音が出ることが予想される場合は本人に伝えておき、突然の音に驚かないようにする。
学校では周囲にやめてほしい行動(わざと後ろから驚ろかせないなど)を伝えておく。

環境要因はなかなかコントロールできないことが多いですが、できることはすることが大事だと思っています。

ストレスを溜めない

ストレスは心臓の働きにも影響を与えます。
それに「あれもダメ、これもダメ」と制限しすぎると、せっかくの毎日が辛くなってしまいます。
何かあったときの対処法を普段から準備しておくことで、心にも余裕がうまれると思います。

気になる症状を見逃さない

「胸がドキッとした」「胸が苦しかった」などの娘の発言、様子がおかしかったなど、普段と比べて気になることがあれば、 受診時に担当医に情報提供しておくと治療の手助けになると思います。
また事によっては受診日を待たずに問い合わせたほうが良いこともあります。担当医に確認しておくと安心です。

発作に気付ける環境作り

心停止してから10分何も処置をしなければ、生存確率はかなり低くなることが分かっています。とにかく何かあったとき にすぐに対処できるようにしておくことが大事だと思います。  しかし四六時中子どもを見ていることもできません。親にもすべきことがあるし、子どもも成長とともに親から離れていきます。

子どもを見守っていくためには便利な機器を活用したり、周囲の協力が欠かせません。

発作のリスクと生活の場面を結び付ける

娘の場合、睡眠時・安静時・驚愕時・大きな音が発作を起こしやすいので、生活の中で当てはまる場面には特に注意しています。 睡眠時には実際に発作を起こしたことがあるので、欠かさず見守りしています。(深夜、爆音を響かせながら走っている バイクの方は本当にやめてほしいです)

音に慣らす意味でも、普段騒々しい我が家はそのままに。落雷やサイレンの音、緊急地震速報などは心配なので様子を見に行きます。
入浴は発作のリスクというより、発作を起こしたとき溺れるのが怖いので、注意しています。 見ると怒られるので、「大丈夫?」と声をかけます。子どもの成長や症状によって変わることもあるけれど、 自然に生活スタイルが出来上がっていくという感じです。

見守り機器を使用する

娘の場合、睡眠時の発作のリスクが高いため、睡眠時に限って ベビーモニターを使用しています。娘が寝ている間、ずっと付き添うのは生活上難しいためです。 ただ赤ちゃん以外に使用するのは使い方によっては監視になってしまいますし、子どもが嫌がるのでお勧めはできません。 現状やむを得ずの方法です。様子が気になるときは必ず直接見に行くようにしています。

転倒検知アラーム付きのスマートウォッチも考えましたが、発作を検知するのではなく転倒を検知するので、 寝た状態で発作が起きても検知できません。日中の活動時用に使用するのはアリかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群のためのセンサーマットもどうかと考えました。一定時間呼吸が検知できないとアラームが鳴るというものです。 睡眠時は見守れているので、今はあまり必要がないと思っています。

学校や周囲に協力をお願いする

子どもは成長とともに親から離れていきます。家庭だけではできることにも限界があります。
QT延長症候群は学校の管理が必要な病気で、学校に届け出をする必要があります。  学校側にとっても適切な対応を把握しておく必要があります。提出書類だけではどのような対応が必要か分かりません。学校と情報を共有して連携することが 子どもの命を守るためには大切だと思います。また友達のおうちに遊びに行くとか、友達と外で遊ぶとかいうこともあるので、お友達家族や周囲の人達に理解を求めることも大事だと思います。

救命講習を受けておく

発作が起きると心臓は痙攣したような状態となり、全身に血液を送りだせません。血液により酸素を供給することができなくなった時、一番ダメージ受ける臓器は脳です。
一刻も早く脳に血液を送ってあげなければいけません。そこで必要なのは心臓マッサージ(胸骨圧迫)です。いざという時のために身につけておくことで、家族の命だけでなく、誰かの命を救える可能性があります。

家族が意識をなくして倒れた時のショックは相当に大きなものです。パニックになったり、ためらったりして救命が遅れることがないよう、日頃からトレーニングしておくことが大切だと思います。
地域の消防署や市の催しなどで救命講習会が行われていると思いますので、調べて受けてみると良いと思います。

実際にシミュレーションしてみる

救命講習を受けたうえで、実際にシミュレーションすると「これはどうしたらいいの?」ということが発見できると思います。実際に発作を起こしたとき、私が困ったことをお伝えします。

  1. 娘が重たくて一人でベッドから降ろせなかったこと。スプリングの上では体が沈み込んでしまい、効果的な心臓マッサージができません。 普段から固めのマットを使うか、和式布団の方がいいかもしれません。
  2. 固定電話から救急車を呼んだこと。救急隊より状況を聞かれるのですが、現場が離れている場合、電話をしながら状況を見に行くことができません。 できればスマートフォンや携帯電話から119番し、現場で見ながら話しながら要請できる方がいいです。もちろん、救急車は先に向かわせていますと言われたので、到着が遅れるということはないと思います。
  3. 住所が分からなくなったこと。救急隊の方が、郵便物を見るように指示してくれました。緊迫した場面では、当たり前のことが当たり前にできなくなります。 緊急時に必要な番号や住所をメモして貼っておくと安心です。
  4. AEDの使い方が分からなくなったこと。電源ボタンを押して起動した後に、パッドを取り出そうとして間違えて電源パックまで一緒に取ってしまい、電源が切れてパニックになりました。 使い方を書いたボードを見て何とかやり直すことができました。これは本当に思わぬトラブルでした。

AEDを購入する

我が家は個人でAEDを購入しています。高額で使用期限があるため、簡単には購入できませんでしたが、服薬するようになってからは 命には代えられないと購入を決めました。レンタルもありますので、合ったものを探すと良いと思います。

やはりAEDがあるという安心感はすごく大きいです。

AEDマップというアプリがり、AEDの設置場所を調べられるのですが、地方だと設置されている店や施設が閉まってしまい使えないという致命的なリスクがあります。 そのため、休日や夜間はAEDを使いたくてもありません。夜間に発作を起こしやすいので、夜は本当に落ち着きませんでした。 AEDがあれば、外出も安心です。(荷物にはなりますが...)